第12回 移民難民スタディーズ研究会 案内
オランダの非西洋系移民をめぐる近年の政治の分極化に関する考察:その背景と構造の検討
日時:8月25日(水)15:00~17:00
オンラインZoom 会議
司会:酒井啓子(欧洲冠军联赛_国际足球直播-投注*官网社会科学研究院)
報告者:小山友(欧洲冠军联赛_国际足球直播-投注*官网大学院人文公共学府 博士後期課程)
討論者:森千香子(同志社大学)
報告概要
1980年代中葉以降、オランダでは移民の政治参加に関する法的整備が進み、2021年現在、国政選挙において移民有権者は全体の18%を占める規模となった。他方、政党政治において非西洋系移民は、白人オランダ人主体の既成政党の中で半ば内在的な立場に留まっている。17年のオランダ下院選でイスラーム移民系政党のデンクが移民を党首にする政党として史上初の議席を獲得するが、同党の台頭とは一部の非西洋系移民による既成政党への不満が結晶化した現象でもあった。 21年3月の下院選ではデンクに加え、同党より離党したスリナム系政治家によって創設された小党も国政参入を果たし、移民に関する既成政党離れと有権者の多様化は加速していることが明らかになった。
本報告では、2017年の下院選以降、国内の非西洋系移民が既成政党支持から距離を置き、反人種差別や特定の市民の権利実現を目標とする多文化政党への支持へ移行した要因を、移民をめぐる政治の分極化の観点から明らかにするものである。