株式会社アルバイトタイムス 外国人材採用支援部部長 竹下さん?カイさんへのインタビュー
インタビュー日:2021/1/12(月)
欧洲冠军联赛_国际足球直播-投注*官网と「ミャンマー人材育成支援産学官連携ぷらっとフォーム」というプロジェクトでつながりのある「株式会社アルバイトタイムス」の外国人材採用支援部長の竹下さんとミャンマー出身のカイさんに、会社について、また、留学生が日本で就職する際の問題となる在留資格(通称「ビザ」)などについてのお話を伺いました。
「株式会社アルバイトタイムス」の外国人材採用支援部について、どのような事業をされていますか?
竹下さん:私たちの会社は、求人メディア事業、人材紹介事業、生活支援事業、などを行っております。その中で私の所属する外国人材採用支援部は、現状ではミャンマー出身の人材に特化した採用支援サービスを行っています。基本的には人材紹介事業なので、弊社に就職?転職希望で登録してくれたミャンマー出身の人材を、採用する企業様に人材紹介という形でご案内をしています。人材紹介サービス以外ですと、ミャンマージョブフェアという就職?転職イベントを行っており、そのイベントの場合は人材紹介とは異なり、求職者(ミャンマー人材)がイベントに参加し、企業と直接話をし、その後の選考活動を行う機会を提供するものになります。現在はこの二本柱でやっています。
ミャンマージョブフェアは、毎回250人~300人くらいが参加してくれるイベントで、7割が留学生です。彼らはミャンマー出身の留学生で、母国で大学を出て、日本で日本語学校や専門学校、短大、大学を卒業して就職していく人たちです。
―「ミャンマー人材育成支援産学官連携ぷらっとフォーム」についても教えてください
竹下さん:はい。その「ミャンマー人材育成支援産学官連携ぷらっとフォーム」というのは、企業と大学、文部科学省や経済産業省等の省庁などで構成されたもので、例えば、企業であればミャンマーに進出中や進出予定とか、ミャンマーに関連する企業、大学ならもっと留学生を増やしたいと考えている大学などが参加しています。取り組んでいる内容はいくつかありますが、1つは留学フェアです。毎年ヤンゴンで開催されています。もう1つは、ミャンマージョブフェアです。先ほどの話にもあった日本に既に居住しているミャンマー人留学生を対象に行うものと、ミャンマー現地で日本で働きたいと考えている人材を対象に行うものと、両方があります。また、定期的に産?学?官での情報交換もしています。
―なるほど。国内外でイベントを開かれていて、その中でも就職に関することをアルバイトタイムスさんでは行っているんですね。
―今日はアルバイトタイムスの社員でミャンマー出身のカイさんにも来ていただいたのですが、カイさんはどのような経緯で御社に就職されたのでしょうか?
カイさん:私はもともと日本の短大に留学し、卒業した後にIT系の専門学校に入りました。IT系に進学した理由は、その当時、就職しやすい分野だと言われていたからです。でも、勉強していくうちに自分には向いていないことが分かって、就職活動では国際業務とか、ミャンマーと関わりのある仕事を探しました。たまたま参加したイベントでアルバイトタイムスを見つけて、自分のやりたいことに合っていて、雰囲気も良いと感じたので、ここに就職しようと思いました。
―どのようなお仕事をされていますか?
カイさん:私の業務は、主に日本で働きたいミャンマー人の面談や、もう既に日本で働いているミャンマー人の転職相談などをしています。あとは就職イベントを開催する時に求職者の方の対応をしています。また、日本の企業で働くために必要な知識についてのセミナーもしています。仕事とは少し離れますが、MASBOという日本で暮らしているミャンマー人のためのボランティア団体の運営もしています。
―知識セミナーでは具体的にどのようなことをされていますか?
カイさん:留学生の場合なら履歴書の書き方とか、面接の受け方、志望動機の作り方や業界分析の仕方などを教えています。また、主に転職希望者向けですが、例えば理系の人であれば、これからどんなキャリアの選択肢があるのかについてセミナーを開いています。
竹下さん:実は、キャリア選択というのは「ビザ」にも大きく関わっていて、留学生は概ね「技術?人文知識?国際業務」というビザの取得を目指しますが、「特定技能」というビザも選択肢としてあるよ、というのを話したりもしてます。
―「ビザ」も大きく関わっているんですね。「ビザ」にはどんな種類があるのでしょうか?
竹下さん:いわゆる「就労ビザ」と呼ばれているものは正式には「技術?人文知識?国際業務」というものです。他にも永住ビザや配偶者ビザ、経営?管理や医療といったビザもありますが、普通、留学生はみんな、この「技術?人文知識?国際業務」のビザを取りにいきます。ただ、この「技術?人文知識?国際業務」ビザには、2つの制約があるんです。1つは、母国の学歴、もしくは日本の学歴と関わりのある仕事でしか取ることが出来ないことです。もう1つはいわゆる単純労働とみなされるような仕事では取れないということです。具体的に言うと、例えば、母国で経済学を勉強していて、日本に留学して経済学部に入ったとすると、この人は母国でも日本でも経済学しか学んでいないので、経済で学んだことの仕事しか出来ないことになります。単純労働については、製造業や建築業など現場で働く作業員は単純労働と見なされてしまいます。もしも、単純労働をしたいなら、最近出来た「特定技能」というビザで就職していくことになります。ただ、この「特定技能」ビザは5年間しか働けないので、なるべく長く日本にいて、しかも自分が学んできた知識を活かして働きたいってなると、みんな「技術?人文知識?国際業務」のビザを目指すんですよね。
この「技術」で、1番多いのはITのエンジニアでしょうか。「人文知識?国際業務」だと海外営業とか、通訳とかがあります。実はちょっと前まで、宿泊業や飲食業も「技術?人文知識?国際業務」で取得できるケースが多かったのですが、2019年に先ほどの「特定技能」ビザの職種認定されたんです。今まで、宿泊業や飲食業に就く留学生もたくさんいましたが、「特定技能」だと5年しかいられないため、「技術?人文知識?国際業務」で働きたいと思っている人が多いです。しかし、それらの職種は人気もあり倍率が高いため、就職先がなかなか決まらないのが実情です。かつ欧洲冠军联赛_国际足球直播-投注*官网の関係で、宿泊業や飲食業も採用を縮小していて、尚更、就職先を探すのに困ってしまっているというのが現状としてはあります。
留学生の中には、大学とか専門学校を卒業した後、もう一度留学ビザを取って、違う専門学校に入り直す人もいます。しかし、お金もかかりますし、本人の勇気もいるし、なかなか出来ることではないため、誰でもチャレンジは出来ないですよね。
長くなってしまいましたが、ビザの種類、もしくはそのビザで入れる仕事、職種というのが、留学生の就職率に大きく関わっていて、私たちも普段、母国でどういう経歴があったのか、今学校で何を学んでいるのか、その中でとれるビザは何なのか、どんなビザがとれるのかというのを、カイさんが留学生と話をして、就職先を探すという感じです。
―ビザのことについて全然知らなかったのでとても勉強になりました。
―御社に相談に来る留学生はどのような職種に就くことが多いのでしょうか?
竹下さん:私たちの会社に登録している留学生は、主に専門学校生が多いのでITとか旅行業とかの専門知識を身につけている人が多いです。ITを希望する人が3割から4割くらいいますね。残りは宿泊、外食、旅行業、事務ですね。実際に採用されているのは、ITと建築系のエンジニアが多いと思います。文系の人材だと、すごく優秀な方であれば、営業職や通訳などで採用されることもありますが、多くの人たちが就職できないでいるか、ここ最近だと、「特定技能」に切り替えて、数少ない宿泊や外食の求人に挑むか、もしくは日本だと求人数の多い介護に挑む人たちも最近では増えてきています。
―御社ではミャンマー人材を探している会社を見つけたり、営業したりするとのことでしたが、これはどのような業種が多いのでしょうか?
竹下さん:そうですね、ここ数年はやはりITが多いと思います。あと、最近で求人をお預かりしたのは、アジア圏にいくつか支点がある会社の経理で、単純に経理の仕事をするだけではなくて、経理業務以外に海外とのやりとりもある仕事でした。海外進出を考えているような会社は業種問わず、こういったニーズが発生したりします。
―企業側は留学生を採用するときにどんなことを懸念しているのでしょうか?
竹下さん:企業側の心配としては日本語能力の他に、「すぐにやめないかな?」ということですね。長く働けるのか、いつまで働けるのかを気にされる企業は多いです。日本語能力に関しては、いずれ習熟すると思っていただけるケースも多いですが、どのようなキャリアプランを描いているのかということと、なんでこの仕事をしたいと思っているのかという志望動機がしっかり言えるかどうかが大切だと思います。私たちもそこをきちんと言えるようにアドバイスすることは出来ますが、本当に本人がそう思わないと面接では見抜かれてしまいますからね。
―将来のキャリアや志望動機についてのお話は日本人学生にも言えることかもしれないですね。
―最後に、今、留学生の日本での就職に関して一番課題だと感じていることは何ですか?
竹下さん:一番と言いながら、2つほどあるんですが、1つは欧洲冠军联赛_国际足球直播-投注*官网のこともあり、求人がとても減っています。社会人の転職に関してはまだあるんですが、留学生の新卒の求人が本当に減ってしまっています。その求人企業を開拓することが一番大きな課題です。もう1つは、留学生に諦めるのではなく、一つの選択肢として「特定技能」というものもあるということを、きちんと伝えていくということです。みんな「技術?人文知識?国際業務」で就職したいと思っているため、突然「特定技能」に切り替えて介護などの職に就くことに対して、気持ちの切り替えが出来ないことがあります。そのままだと帰国しないといけない可能性も高まるため、私たちで説得というか共感を得られるようにしたいと思っています。
カイさん:さっき、竹下が言ったとおりですが、ミャンマー人達も本当は留学して、将来何がやりたいかというのをより深く考える必要があると思います。とりあえず日本で働きたいということだけを考えるよりも、今まで何を学んだのか、なぜ日本で働きたいのかということをしっかり考えることが重要だと思います。
〈協力してくださった会社〉
株式会社アルバイトタイムス 外国人材採用支援室
HPはこちら
〈関連HP〉
ミャンマー人材育成支援産学官連携ぷらっとフォーム
HPはこちら